No.119【原敬とキリスト教】
◆先週の休暇中、ようやく「原敬記念館」に行くことができました。後に盛岡みなみ教会が建つこととなる盛岡市本宮地区に生まれ、日本で初めて平民出身の総理大臣となった原敬。「勲章や爵位は好みません。墓には名前だけ書いてください」と遺書に遺し、財産も寄付に回し、死ぬまで“平民”として生き抜いた彼が座右の銘としたのは、「宝積(ほうじゃく)」という言葉でした。
◆元々は仏教用語で、「宝のような仏法を積み集めたもの」という意味だそうですが、彼はこの言葉の意味を、「人に尽くして見返りを求めないこと」と説明したそうです。なぜ彼は、「宝積」という言葉を「人に尽くす」という意味に解釈したのでしょうか。もしかすると彼は、「天に宝を積みなさい」(ルカ12:33)というイエス様の教えを忘れなかったのかもしれません。
◆フランス人宣教師のもとで聖書を学び、17歳で洗礼を受け、自身も宣教師を志した原は、政治家の道を進むにつれて、キリスト教を離れたようにも見えます。ところが2005年の春、記念館に展示されていた遺品のはさみの柄に十字架が発見されたのです(毎日新聞)。「はさみは彼が生涯クリスチャンの自覚を持っていたことを示している」と、当時の館長は語りました。