No.120【弁証論⑩:異教徒のほうが道徳的では?】

◆「キリスト教国のアメリカは、異教国の日本よりも優れているにちがいない!」という内村鑑三(うちむらかんぞう)の若き日の幻想は、アメリカ留学によって見事に打ち砕かれました。そこには神の名の乱用があり(「Oh, my God!」)、黒人やアジア人に対する激しい差別があり、教会同士の間にさえ、醜い“教派争い”があったからです。(『余は如何にして基督信徒となりし乎』第6章)

◆「あの人、クリスチャンなのに、なんであんなに嫌な感じなんですか?」と、クリスチャンではない人から尋ねられたことがあります。難しい質問でしたが、答えてみました。「もしクリスチャンにならなかったら、もっと嫌な感じだったのかもしれません。」それは僕もアメリカも同じです。「医者を必要とするのは、健康な人ではなく病人です。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためです。」(ルカ5章31-32節)

◆キリスト教徒よりも異教徒のほうが道徳的だという現実が、たしかにあります。しかし、“嫌な感じ”の僕たちを喜んで引き取り、根気よく治療してくださるのがイエス様なのです。治療困難な患者が大勢いることは、主治医の無能力の証拠ではなく、寛大さの証拠なのです。