No.129【「女は静かにしていろ」? 「子を産めば救われる」?】

◆本日の説教の担当はまなか先生ですが、「私は、女が教えたり男を支配したりすることを許しませんむしろ静かにしていなさい(『テモテへの手紙 第一』2章12節)というパウロの言葉を思い出した方は、「女性が説教してもいいんだっけ?」と疑問を持つかもしれません。

◆パウロがこの手紙を書いた当時、「グノーシス主義」という異端が広がり始めていました。この異端は、〈①霊的世界こそが善で、物質世界は悪(だから旧約聖書の創造神も悪)〉とか、〈②霊的世界の「グノーシス(知識)」を得れば物質世界から救われる〉と教えました。さらに、〈③「善悪の知識」をアダムに与えたエバは、創造神の悪意を見破った救済者だ。エバこそが「知識」の教師なのであり、女が男を支配すべきだ〉という極端な思想を持ったり、〈④出産は物質世界を維持する罪なので、子どもを産む女は救われない〉なんて教えたりしていました。

◆異端反駁がパウロの狙いだったなら、2章12節は〈③〉への反論として理解できます。また、15節の「女は…子を産むことによって救われます(別訳:子を産むとしても救われます)」も、〈④〉への反論でしょう。パウロの目的は“問題解決”であって、“ルール制定”ではないのです。