No.136【「女の人は教会では黙っていなさい」?】

「女の人は教会では黙っていなさい。……もし何かを知りたければ、家で自分の夫に尋ねなさい」(第一コリント14章34-35節)というパウロの言葉は差別的にも聞こえます。しかし、同じ手紙の中でパウロは、「女はだれでも祈りや預言をするとき」(11章5節)とも書いており、女性が教会で語ることを当然のこととして認めているのです。一体どういうことなのか…?

◆もしかすればパウロは、礼拝中にお喋りしていた女性を戒めただけなのかもしれません。コリント教会の礼拝ではギリシャ語が使われていたはずですが、教育水準が低かった当時はギリシャ語を十分に理解できない女性も多かったようです。「今のお話どういう意味?」と礼拝の途中で夫に質問したり、退屈になって雑談し始める女性たちがいたのかもしれません。

◆もしくは、そもそも14章34-35節はパウロの言葉ではなかった、という可能性もあります。この手紙の写本の中には、34節と35節が抜け、33節が36節に繋がるものもあるからです。後の時代に誰かが付け足したのだろう、と考える研究者は少なくありません。いずれにせよ、「今日もまなか先生が説教で、パウロに怒られないかなあ?」と心配する必要はなさそうです。