No.167【「ハデス」と「ゲヘナ」と「タルタロス」】
◆“死後の世界”を表わすことばとして、聖書には「ハデス」「ゲヘナ」「タルタロス」などが登場します。一つ目の「ハデス」は「よみ」と訳され、全ての死者が復活の日まで一時的に留まる地下の世界です。イエス様が降られたのも、「ゲヘナ」や「地獄」ではなく「よみ」です。
◆二つ目の「ゲヘナ」は、元々は「ヒノムの谷(ゲ・ヒノム)」という意味で、エルサレムの南西に実在する谷です。その昔、幼児を生きたまま火で燃やして異教の神々に捧げるという儀式が行われた場所です。イスラエルの神は怒り、この谷で燃やされるべきは幼児ではなく、幼児虐殺を続ける人々だと宣言します(エレミヤ19:1-7)。このような経緯から、「ゲヘナ」は神のさばきを象徴する言葉となり、“死後に悪人は燃やされる”というイメージを生みました。
◆三つ目の「タルタロス」は、罪を犯した堕天使が閉じ込められる「地獄」です(Ⅱペテロ2:4)。「地獄」と聞くと「ゲヘナ」を連想する人が多いのですが、この「地獄」は“地下の牢獄”なので、むしろ「ハデス」の一部です。イエス様はこの「地獄」に対し勝利を宣言します(Ⅰペテロ3:19)。そして最後には、世を滅ぼそうと企む堕天使たちを「ゲヘナ」で滅ぼすのです(黙示録20:10)。