No.114【弁証論⑤:イエスは実在したのか?】

◆「抑論」と書いて「よくろん」ではなく「そもそもろん」と読むそうです。物事を根本から考え直す「抑論」はあらゆる分野で重要ですが、「抑論」であればあるほど、意外と答えるのは難しいかもしれません。そこで今回扱いたいテーマは、「抑、イエスは実在したのか?」です。

◆百歩譲って、「新約聖書はイエス実在の証拠資料として信頼できない」と仮定することにしましょう。だとしても、聖書以外の証拠で十分です。たとえば、ローマ人歴史家のタキトゥス(55年頃-120年頃)は、「キリスト者……この呼び名の由来となったキリストは、皇帝ティベリウスの治世に、我々の総督の一人であるポンティオ・ピラトによって極刑に処せられた」と記録しています(『年代記』15巻44節)。もちろん、タキトゥスは非キリスト者です。

◆また、『バビロニア・タルムード』というユダヤ教文書(5世紀末)にも、「ナザレのイエスは魔術を行い、ユダヤの民を惑わしたので(処刑された)」とあります(サンヘドリン章43節a)。この記録は、イエス様が実在した証拠であると同時に、イエス様が「魔術」(に見える何か)を行なったことの証拠でもあります。聖書の外側を調べるほど、聖書の信頼性は高まるのです。