No.72【A B C X C B A】

◆本日の説教でも引用する箴言6章16-19節には、少し面白い文学技法が使われています。


……主ご自身が忌み嫌うものが七つある。
高ぶる目、偽りの舌、
咎なき者の血を流す手、
邪悪な計画をめぐらす心、
悪へと急ぎ走る足、
まやかしを吹聴する偽りの証人、
兄弟の間に争いを引き起こす者。

 普通に思えるこの文章ですが、実は以下のような“回文”になるのです。


 〈A〉高ぶる目
   〈B〉偽りの舌
     〈C〉血を流す手
       〈X〉邪悪な計画をめぐらす心

     〈C〉悪へ走る足
   〈B〉偽りの証人
 〈A〉争いを引き起こす者

◆このような文学技法を“キアスムス”と呼びます。「高ぶる目」が「争いを引き起こす者」と繋がっていることや、「邪悪な計画をめぐらす心」が中心にあることが暗示されるのです。“終戦記念日”を迎える今週、私たちはこの箴言に耳を傾け、思い巡らすべきかもしれません。