No.63【フランシスコの平和の祈り】

◆ 「主よ、私をあなたの平和の道具とさせてください」 ―――“フランシスコの平和の祈り”として知られる有名な祈りの冒頭です。実際には、別の誰かが20世紀に書いた祈祷文だと言われますが、アッシジの聖フランシスコもこの祈りに生きたことは間違いないでしょう。

◆この祈りはなぜ美しく、力強いのか。それはこの祈りが、“神を道具とする祈り”ではなく、“自らを道具とする祈り”だからかもしれません。そしてそれこそが、私たちが本来祈るべき祈りであるのかもしれません。“フランシスコの祈り”は、次のような言葉で閉じられます。


ああ、主よ、わたしに求めさせてください。
慰められることよりも慰めることを、
理解されることよりも理解することを、
愛されることよりも愛することを。
人は自分を捨ててこそ、それを受け、
自分を忘れてこそ、自分を見いだし、
赦してこそ、赦され、
死んでこそ、永遠の命に復活するからです。