No.80【「世の終わり」って何?】

◆聖書の中に「世の終わり」という言葉が出て来ると、“地球滅亡”のような光景を想像するかもしれません(マタイ13章39節や第一コリント10章11節など)。しかし、これらの箇所で「世」と訳されているギリシャ語 αἰών(エオーン)は、“世界”とか“地球”ではなく、 “時代”を意味します。

◆「支配者が変われば、αἰών(時代)も変わる。」これがユダヤ人の基本的な考えでした。たとえば日本語でも、「徳川の世が終わった」と言えば、“日本列島が沈没して消え去った”という意味ではなく、“徳川家が日本を支配する時代が終わった”という意味になるでしょう。古い王が支配する時代が終わって、新しい王の時代が始まる。これが「世の終わり」です。

◆それゆえパウロも決して、「“この世”は滅びるから、“あの世”で永遠に暮らそう」とは言いません。むしろ彼は、「今の世」と「次に来る世」という表現を使います(エペソ1章21節)。悪魔が支配する「今の世」が終わり、キリストが支配する「次に来る世」がスタートする。“救い”とは、“堕落した世界からの救い”ではなく、“堕落した世界救い”です。「キリストは……この終わりの時に、あなたがたのために現れてくださいました。 」(第一ペテロ1章20節)