No.92【「終わりまでを見極める」】

◆「伝道者」(ヘブル語で“コヘレト”)と名乗る謎の人物は、「人に降りかかるわざわいは多い。何が起こるかを知っている者はいない」(伝道者の書 7章6-7節)と語りました。私たちも突然の地震や津波の脅威に驚き、「どうして世界はこんなにも不平等なのか?」と嘆きます。

◆予期せぬ災害、予期せぬ事故、予期せぬ病によって、命を落とす人々がいる。真面目に生きてきたはずの人も、純粋で無垢な赤子も、突然死んでしまう。「私はこの空しい人生において、すべてのことを見てきた。正しい人が正しいのに滅び、悪しき者が悪を行う中で長生きすることがある」(7章15節)。それなら、正しく生きる必要なんてあるのでしょうか?

◆なぜ神は、あの地震を止めなかったのか。なぜ神は、あの人の命を救わなかったのか。正義を行うはずの神は、不平等なこの世界を見捨てているのだろうかと、伝道者は問いを投げかけています。しかし、それにもかかわらず伝道者は、「人は、神が行うみわざの始まりから終わりまでを見極めることができない」(3章11節)とも警告します。神を批判することは簡単です。しかし、本当にその資格を持つのは、「終わりまでを見極める」者だけなのです。