No.21【パリサイ派、サドカイ派、ナザレ派?】
◆ 先週の説教でもお話ししたのですが、福音書によく出てくる「パリサイ派」という言葉は、「分離する人々」という意味だと考えられています。〈罪人たちの“汚れ”から自分たちを“分離”し、清さを保つことで、“神の国”を待ち望んでいた人々〉です。当時、最も人気のある宗派でした。
◆ また、新約聖書には「サドカイ派」と呼ばれる人々も登場します。「サドカイ」をあえて訳すなら、「正しい人々」です(実際の語源は不明ですが)。この人々は、エルサレム神殿の祭司や貴族を中心とする〈権力者集団〉でした。「パリサイ派」 とは違って、「サドカイ派」 は“死者の復活”を否定していましたが、その理由の一つは、体制維持・権力保持のためでした。「民衆が“復活”なんて信じたら、命の危険を顧みずに、我々に逆らうようになってしまう……。」
◆ そのほか、「ゼロテ派(熱心党)」や、「エッセネ派」と呼ばれるグループもありましたし、「洗礼者ヨハネ派」も存在していました。このように、当時のユダヤ教には様々な集団があり、お互いに“自分たちの正しさ”を主張していました。その中でも、おそらく最も奇妙な集団は、「ナザレ派」という人々です。彼らの生き方は、ほかの集団とは明らかに異なっていました。彼らは、“断食”をせず、“安息日”を守らないどころか、“罪人たち”と食卓を囲んでいたのです。