No.170【「愛の挨拶」】

◆先月のコンサートの中で吉村美穂さんと野田常喜さんが最初に演奏してくださったのは、エルガー作曲の『愛の挨拶』でした。婚約者のアリスに贈るために書かれた曲だそうです。教派の違い(エルガーはカトリック、アリスはプロテスタント)や、当時まだ無名の作曲家と陸軍少将の娘という身分格差から、アリスの両親の反対を押し切っての婚約だったそうです。

◆原曲に歌詞はないのですが、美穂さんはこんな素敵な歌詞をつけて歌ってくださいました。


春のそよ風吹いて  花びらが踊ってる
それだけで嬉しいの  あなたがいること

秋の落ち葉を踏んで  かさこそ音を立てる
それだけで落ち着くの  あなたがいるから

誰でも一度は声をあげて泣いた夜があるわ
そんなときは思い出して  愛する人の温かさ

痛みを知ってる人は優しさにあふれてる
そんなあなたに今日も愛の挨拶を

◆「神さまがいつもあなたを想っている、という意味を込めました」とも仰っていました。「挨拶」について調べてみると、「日常生活などでの不和を避ける働きを期待できる」という説明が出てきます。しかし、“愛の挨拶”はそれ以上のものです。「あなたがいる」を喜ぶのです。